どのくらいの時間がゴーカートトラックの周りにかかりますか
電気自動車 - Wikipedia
電気自動車(でんきじどうしゃ、electric car)とは、電気をエネルギー源とし、電動機を動力源として走行する自動車 [1]である。
電気自動車は、地球温暖化問題に関する京都議定書のCO2排出削減目標を達成する手段の1つとして、あるいは産出国が局在する化石燃料に対する依存を減らす手段の1つとして国家レベルで実用化に力を入れられるようになった。また、2008年(平成20年)の夏にかけて、原油価格の急騰に伴ってガソリン価格が上昇したことを受けて、燃費の良い自動車の1つとして消費者の関心が高まっている。
電気モーターを動力源とする電動輸送機器(electric vehicle; EV)の一種である電気自動車は、車載電池から電力を得る電池式電気自動車と、走行中に電力を外部から供給する架線式電気自動車とに大きく分けられる[2]。軽自動車や普通乗用車としては電池式電気自動車が注目されているが、大型車を電気自動車にするには大量のバッテリーを搭載しなくてはならず重量が課題となる。そのため、大型車ではハイブリッドカーや架線式電気自動車が注目されている。
電池式電気自動車は、外部からの電力供給によって二次電池(蓄電池)に充電し、電池から電動機に供給する二次電池車が一般的である。車両自身に発電装置を搭載する例としては、太陽電池を備えたソーラーカーや、燃料電池を搭載する燃料電池自動車があるが、2010年現在はいずれも実用化されていない。電池を用いた方式は構造が単純であるため、自動車の黎明期から今日まで遊園地の遊具、フォークリフト、ゴルフカートなどに多く使用されてきた。日本では築地市場などで運搬に利用される、ターレットトラックとしても用いられている。しかし、二次電池は出力やエネルギーあたりの重量が大きく、コストも高く、寿命も短かった。また、電池の寿命を低下させる急速な充電を避ける必要もあり、稼働時間に対する長い充電時 間も短所であった。そのため、交通機関の主流たりえなかった。近年、出力密度もエネルギー密度も高く、繰り返しの充放電でも劣化の少ないリチウムイオン二次電池の発展により、電気自動車が注目されるようになってきた。
架線式電気自動車としては、架線に接触させて電源を得る方式はトロリーバスとして古くから用いられているほか、架線を地下に埋設して、誘導電流によって走行中に充電できるオンライン電気自動車や、誘導コイルを地下に埋設し、停車中のみ充電できる非接触充電式電気自動車がある。
[編集] 種類と特徴
ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関による動力源と比較すると、適切に選ばれた電動モーターの起動トルクは大きく、高速回転領域まで電力の変換効率がそれほど変化しないので、電気自動車はほとんど変速機を必要としない。また、自身で始動できるため始動用の補助動力装置も不要である。電動モーターは内燃機関に比べると騒音が少ないが、歩行者に気づかれにくく事故につながる状況もあるため、歩行者へ車両の接近を知らせる発音装置の搭載を標準化することが検討されている[3]。
[編集] 電池式電気自動車
二次電池に充電した電気で電動機を回して走る自動車。自動車としては蒸気自動車やガソリンエンジン自動車(ガソリン車)と並んで最も古くからある形態の一つであるが、かつてはガソリン車の性能向上に押されて衰退し、近年になって二次電池と電動機の技術革新が起こるまでは、福祉やレジャー分野、工場や市場内の運搬用など、その普及は限定的であった。
[編集] 長所
- 出力制御が難しい原子力発電の普及によって増大した夜間の余剰電力を安価な深夜電力として利用でき、エネルギー費用が抑えられる(1km走行で電気代は深夜電力利用で約1円、非課税なら石油走行の10-15%、1km走行でガソリン代は約15円:燃費が10km / Lの場合)。
- ガソリンスタンドやエコ・ステーションなどのインフラが不要[独自研究?]で、一般家庭でも充電が可能。
- 内燃機関に比べエネルギー効率が数倍高い。
- 内燃機関、クラッチ、変速機などが不要で、パッケージングの制約が少ない。
- 内燃機関特有のアイドリングが存在しないため、車両一時停止時も無駄なエネルギー消費がない。
- 電動機は駆動力と制動力の双方を生み出すため、電子制御で高性能のトラクションコントロールとABSを実現することが容易。
- 走行時のCO2やNOxの排出が無い。発電所でのCO2発生は、小型の電気自動車走行1kmあたり40g(一方、小型ガソリン車の場合170g)[独自研究?]。
- 部品点数が内燃機関車に比べ大幅に少なく、ASSY交換も容易で故障の際の修理コストも抑えられる。電池の価格さえ大幅に下がれば、ハイブリッドカーはもちろん、ガソリン車より安く作ることが可能。
[編集] 短所
[編集] プラグインハイブリッドカー
部分的にバッテリーのみで走行できるハイブリッドカー。おおざっぱに言って、「エンジン発電機を搭載したEV(シリーズ・ハイブリッド)」(例:シボレー・ボルト)と「EVモードを強化したHV」(例:トヨタ・プリウスPHV)のタイプが存在する。車両に付けたソケットにプラグを差し込み(Plug-in)外部電源から直接充電できる。蓄電池容量は電気自動車より少ないものの、ハイブリッドカーよりは多い。あらかじめ充電しておくことで電池容量以内の距離は電気自動車として、それ以上の距離はハイブリッド車として機能する。家庭用電源が利用可能で、電化地域であればどこでも充電できるメリットがある。ハイブリッドカーではあるが電気自動車に近く、長距離走行を内燃機関で補いつつも実用的な電動航続性能を有し、片道30km� �度の通勤や買い物や送迎と言った日常用途なら燃料を使わずに安価な深夜電力のみで往復できる。
[編集] 長所
- 家庭用電源で充電でき、車種によりバッテリーのみの航続距離に大きな差があるものの、短距離なら電気自動車として利用可能
- バッテリーのみの航続距離は、BYD F3DMで約96km、シボレー・ボルトで約62km、プリウスPHVで約24kmである
- 長距離走行は内燃機関で発電するため通常のハイブリッド車として利用可能。電気走行を短距離に抑えてあるため電池コスト/重量が電池自動車の1/8の10万円/36kgで済む。そのため電池価格低下まではコスト面で有利
- 大型車で導入が容易
[編集] 短所
- 自家発電装置などが無い限り、停電時に外部電力での充電ができない。
- バッテリー容量を越える距離の走行は内燃機関で発電を行いながらの走行となり、ガソリンハイブリッドカーと同程度の環境負荷となる。
- 電気自動車と内燃車の双方の機構が必要で、必然的にガソリン車より高コストとなる。電池のコストダウンが進んだ場合は純電池式電気自動車に比べコスト面で不利。
- 電動航続距離が短い車種で、長距離を走る場合、電気自動車としての利用が十分にできないが、ハイブリッド車としての高効率は維持できる。
[編集] 金属燃料電池(金属空気電池)自動車
新しい材料と構造の金属空気電池を使い電動機を駆動する自動車。エンドユーザーにとっては空気電池を一次電池のように電池パックごと交換して使い、バックエンドの再生場で金属燃料と正極電解液を交換して燃料電池として再利用する。金属空気電池は燃料密度が大きく、容量が非常に大きいので、1回の交換あたり1000km以上を走行できる。金属燃料として金属リチウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、亜鉛などが検討されている。[5][6]
[編集] 長所
- 電池をストックでき、ある程度停電に強い。
- 車載用として最も適した燃料電池
- 構造が簡単でスペースが最も小さい燃料電池である
- 最もライフサイクルコストの安い燃料電池である
- 航続距離が水素燃料電池や内燃機関より長い
- 金属空気電池用の再生インフラが必要だが、水素燃料インフラより取り扱いと構築が容易である
- 金属空気電池用の再生システムを確立すれば電池の劣化を気にする必要が無い
- 走行時にCO2やNOxを出さない
- 金属空気電池を二次電池として使う可能性もある
- 燃料電池のフィールドでの燃料補給は困難だが、二次電池にして充電できる可能性はある
[編集] 短所
- 車載型燃料電池にできそうな金属空気電池は新しすぎて実績が無い
- 燃料電池のフィールドでの燃料補給は困難で、電池交換と再生工場が必要
- 燃料電池の規格化が必要
- 燃料電池としては最もコスト安だが、既存の二次電池より安くなるか不明
- 二次電池を併用するハイブリッドカーとなる複雑性
- 総合効率の向上のため回生ブレーキ充電用の二次電池が必要とされる
- 寒冷地の起動用にも二次電池が必要とされる
[編集] 水素燃料電池自動車
水素を燃料タンクに蓄え、水素燃料電池で発電して電動機を駆動する電気自動車。水素を直接燃焼に利用する水素自動車とはエネルギーを取り出す方法が異なる。水素燃料電池セル自体には問題は少ないが、水素燃料タンクと燃料インフラに画期的な技術革新が無い限り、新しい金属空気電池の出現により、車載型水素燃料電池は命脈を絶たれつつある[独自研究?]。
[編集] 長所
- 他の方式の水素自動車と同じ長所
- 化石燃料を原料として安価に大量の水素製造が可能
- 自然エネルギー発電が普及すれば、化石燃料を用いることなく水を原料にして電気分解で生産できる
- 走行時にCO2やNOxを出さない
- 航続距離が電池式電気自動車より長い
- 水素燃料電池自動車固有の長所
- 内燃水素自動車より燃料を節減できる
[編集] 短所
- 他の方式の水素自動車と同じ短所
- 水素脆化により車両全体に及ぶ金属劣化に対する対策がまだできていない
- 高圧水素タンクに気体水素を押し込めるだけで大きなエネルギーロスになる
- 水素吸蔵合金タンクでも重量あたりの充填量が少ない
- 化石燃料から水素を生産するとガソリン自動車以上に環境負荷が大きい
- 充電の代わりに水素を生成するコストは二次電池に充電するより高くつく
- 水素供給インフラ整備に費用と時間が掛かる
- 水素燃料電池自動車固有の短所
- システムが複雑なため車上有効スペースの減少と重量の増加
- 触媒に用いる白金などにより燃料電池自体が高価となり、取得費用が掛かる(水素燃料電池車の車両価格は1千万円以上)。
- 化学変化を利用する発電のため、イオン交換樹脂の劣化による性能低下が避けられず、数年毎に燃料電池の交換が必要
- 二次電池を併用するハイブリッドカーとなる複雑性
- 総合効率の向上のため回生ブレーキの充電用の二次電池が必要とされる
- 寒冷地の起動用にも二次電池が必要とされる
[編集] アルコール燃料電池自動車
アルコールを燃料タンクに蓄え、燃料電池で発電して走る電気自動車。アルコールを直接燃料電池に供給するものと、アルコール改質器を用いてアルコールから水素を得て、水素燃料電池に供給するものがある。発電用の燃料としてアルコールを利用するため、アルコールを直接内燃機関で燃焼させるアルコール燃料自動車とは異なる。
フォードは何を意味している車載型として評価するとアルコール改質型は構造の複雑さによるコスト高により絶望的。アルコール直接燃料電池は低信頼性と低性能のために絶望的である[独自研究?]。
[編集] 長所
- 他の方式のアルコール燃料自動車と同じ長所
- 火災の際は水で消火できる
- アルコールは既存のガソリンスタンドで給油可能
- 航続距離が電池式電気自動車に比べて長い
- 燃料価格は比較的安い(下記は2008年現在)
- 燃料電池車特有の長所
- 燃料電池自動車と設計の共通化が図れる
[編集] 短所
アルコール改質型は最も複雑なシステムのため、許容できないほどの車上有効スペースの減少と重量の増加とコスト高になる
- 他の方式のアルコール自動車と同じ短所
- アルコール燃料電池自動車固有の短所
- アルコール中の水素を利用するため燃料電池内は水素燃料電池と同様水素脆化による金属劣化の問題が発生する
- 燃料改質器にスペースとコストをとられる
- 改質の際、CO2と熱が発生する
- 燃料電池が高価である
- アルコール直接供給式燃料電池は水素燃料電池よりも寿命が短い(腐食性が原因)[7]
- 二次電池を併用するハイブリッドカーとなる複雑性
- 総合効率の向上のため回生ブレーキ充電用の二次電池が必要とされる
- 改質器のために更に大容量の寒冷地の起動用に二次電池が必須とされる
[編集] トロリーバス(架線集電式ハイブリッドカー)
「トロリーバス」を参照
架線を設けた幹線では架空電車線から集電して電動機で走行しつつ二次電池に充電し、架線のない支線で電池式EVとしての走行が可能な2モード電気自動車が構想されている。
トロリーバスは都市部の交通機関として古くから実用化されていたが、架線のある所以外では走れないことなどから普及が限られており、ディーゼルエンジンを搭載したバスの性能向上により廃れた国も多い。しかし近年、ハイブリッドバスに集電装置を取り付け、架線のない所でも長距離を走れるトロリーバスが開発され、公共交通機関として見直されている。
[編集] 長所
- 電池が少容量(小型)ですみ、重量・コスト面で有利。(電池式 = 純電気大型自動車の場合、電池代だけで1600万円といわれている)
- 大出力が可能であるため、CO2排出・石油消費で大きな比率を占めるバス・トラック等の大型自動車輸送の電動化に適用可能
- 持続的に大出力を発揮可能
- ガソリンスタンドで給油可能
- 車両コストはハイブリッド式と大きく変わらず、数百万から数千万円ですむ
- 架線のある幹線はガソリンより安価な電気が使え、車両からのCO2排出も無い
- 架線集電では航続距離の制限が無い。支線での航続距離も電池式に比べ、大きい
- 電池式電気自動車に比して電池が小さいため車両が軽くなり、エネルギー消費とCO2排出が低減できる
- 架線集電はトロリーバスで十分実績がある
- 走行エネルギーコストが非課税ベースで電力は石油の10-15%である
[編集] 短所
- 停電に弱い。
- 架線の問題
- 高速道路上の架線を社会が受容する必要あり、美観への影響と安全性が問われる
- 架線敷設の為、どんなに低く見積もってもkmあたり2-3億円のイニシャルコストが必要
- 通常の架線で交通集中に見合う電気容量が確保できる保証が無い
- 架線保守要員が必要
- 溶断、破断による新たな危険
- 整備不良車による他車や設備へのリスクが大きい
[編集] 現状
- 架線式の最大の欠点であった「架線のないところは走れない」ことがハイブリッド化によって克服されうる事などもあり、豪州や米国や欧州の一部で公共バスを中心にトロリーバスが見直され、ハイブリッドバスと影響融合しながら拡大している
- 都市間道路に架線が無いというインフラの問題で(ハイブリッドトラック/乗用車が実用化されているにもかかわらず)集電式ハイブリッドバスによる大型自動車輸送電化は、2008年現在トラック/乗用車に応用されていない。
- トロリーバス
- デュアルモードトレーラー
- ボストンのハイブリッドトロリーバス
[編集] 非接触充電自動車
電磁誘導や共振現象を利用して、接触なしに道路下に埋設した地下架線から走行中に給電・充電できるオンライン電気自動車や、コイルから停車中のみ給電・充電できる電気自動車がある。
非接触充電自動車は道路下に埋め込まれた地下架線やコイルにより走行中や停車中に車載電池に充電することで電池容量(重量とコスト)を抑えつつ、長距離の電池走行を可能とする。内燃機関も積んだハイブリッド車は非接触式プラグインハイブリッド車として機能する。 市内走行向けの路線バスの電化に最初の適用が期待されている。地下給電線や充電コイルの市街地への設置が進めば、電気自動車の普及に貢献すると目されている。
次の出典元の実験では、路線バスなら非接触充電の電池バスでかまわないことが判ってきた。[8][9]日産の次世代電池乗用車にも非接触充電車が計画されている。 [10]
軌道走行中に充電し、軌道外を電池式EVとして走行する自動車を2モード電気自動車と呼ぶ。
大韓民国では Online Electric Vehicle(OLEV)という地下給電線を用いたシステムがあり、ソウル大公園内の2.2キロの循環バス路線内の3か所に合計400mに渡り給電線が埋設されている。試験結果に問題がなければ路線バスへの導入が計画されている。[11]
ドイツの概念では軌道走行をEVモードと完全に分離したリニアモーターとする2モード自動車の構想がある。高速道路自体にリニアモーターを組み込み、自動車を一体的に駆動しながら非接触給電により二次電池に充電し、高速道を降りた市中では通常のEVとする構想である。[12]2モードの軌道走行中は大幅に走行自由度が制限されるため、完全にモードを分ける考え方である。
[編集] 長所
- 非接触給充電装置のある区間内では航続距離の制限がなくなる
- 軽量化が図れるため大型電気自動車に有利
- 電池を節約できるため重量を軽く、価格を安くできる。1充電あたりの電池自動車の走行距離も15km程度で十分ある。
- 電池が小さくてもよいので、電気自動車の中では架線式に次いで車両が軽くなり、エネルギー消費とCO2排出が節約できる
- 非接触給充電装置のある区間は化石燃料より安価な電気が使え、車両からはCO2排出がない
- 充電に伴う渋滞を解消できる
- 架線が無いため景観・美観上優れる
- ハイブリッド車はガソリンスタンドで給油も可能
[編集] 短所
- 充電頻度が高いと電池寿命が短くなる
- 変電所の建設や給電線の埋設など、インフラ整備に時間と費用がかかる
- 災害等で破壊された場合復旧に時間と費用がかかる
- 給電システムの保守要員が必要
- 給電サービスへの課金システムが必要となる
- 昼間充電する場合安い夜間電力が使えない(給電システムへの政治判断次第だが、通常の電池式は夜間蓄電・昼間走行)
- ハイブリッド車はエンジンからCO2やNOxを排出する
- 停車中のみのコイルと、走行時も使えるレール状給電線との使い分けが必要なため、通行車両を考慮し計画的に埋設しないと無駄が生じやすい。
- 埋設されているコイルや地下給電線により走行形態が制限を受ける。(例:長距離トラックがコイル充電のため頻繁に停車するなど)
- 常時誘導電流が流れている場合、誘導電流によって車両が加熱される可能性がある
- 誘導電流によってペースメーカー等の医療機器に悪影響を与える可能性がある
- 磁場の強度は距離の二乗に反比例する為、路面の凹凸等で地上の一次側と車上の二次側のコイルの間隔の変動により伝達効率が変動する
[編集] 駆動系の配置による分類
電気自動車は電動モーターを含む駆動系の配置によりいくつかに分類できる。 通常のガソリンエンジン車に最も近く、比較的簡単な改造によってエンジン部分を積み替え、プロペラシャフトやデフなどをそのまま使用するものから、駆動タイヤ近くにモーターを配置し、場合によっては減速ギヤを介して駆動輪に接続するもの、そして、最も従来の自動車とは異なる駆動系の配置となるインハブ・モーターを持つものなどがある。図では簡単のために後輪のみの二輪駆動で示したが、前輪駆動やエリーカのような総輪駆動も可能[13]である。
[編集] 電池式電気自動車の長所/短所/問題点
[編集] 長所
電気自動車は「有害排出物が無く(ゼロエミッション)、環境にやさしい」と考えられており、局所的な大気汚染の緩和策には有効である。また、原子力・自然エネルギー発電との組み合わせによりCO2削減にも有効と見られている。また騒音源である内燃機関を搭載していないため、一般に音が静かであるという特徴もある反面、自動車の接近に気づきにくく、車の接近自体を防ぐまたは接近を知らせる仕組みが必要という意見もある。
発電所発電からの全体を考慮した電気自動車のエネルギー効率については、最新の火力発電所などの発電効率が高く、廃熱利用を含め、60%程度の熱効率を実現する発電所も増えているため、送電効率・充放電効率・動力変換効率などを含めても、内燃機関自動車に比べて数倍程度高い効率が実現できるとされる[14]。例えば東京電力の川崎火力発電所の一部の発電機ではコンバインドサイクルを導入し、最大59%の熱効率となっている[15]。
電気モーターは起動から最大トルクを得ることができ、損失の発生するトランスミッションなどを用いず直接車輪に動力を伝達でき、これを生かした技術としてインホイールモーター(またはハブインモーター)と言われる、モーター軸にホイールを取り付けて動力伝達ロスを最小限にする技術が存在する(実際には、インホイールモーター内に減速ギアを用いている例がある。ダイレクトドライブインホイールモーターと言われる、完全にトランスミッション機構を廃したインホイールモーターも一部で研究開発されている[16])。
そのため慶應義塾大学電気自動車研究室の試算では、電気自動車の電力をすべて火力発電でまかなったと仮定しても、ガソリン車よりも3 - 4倍、総合効率で優れるとされている(詳しくはエリーカを参照)。また電気はあらゆる発電方法から得られるという特性を生かして、燃料電池・風力発電・太陽光発電など、発電時に二酸化炭素を出さない手法も活用できる。太陽電池を車両に搭載して換気に用いるなど電力の一部をまかなうことでより快適な運転も可能である、ソーラーカーの項も参照のこと)。
日本で電池式電気自動車を使用する場合、深夜電力を使用して充電することが考えられる。日本においては、8000万台の比較的高性能なプラグインハイブリッドカーや電気自動車が普及した場合、出力調整の難しい原子力発電所の深夜余剰電力の有効利用につながり、またガソリン使用量の7割を削減できると試算されている[14]。電力に占める原子力や再生可能エネルギーの利用割合が増えることで、さらに温暖化ガスの排出量削減が出来ると見込まれている[14]。
1999グランド·アム"をどのように私はラジオを交換しない"[編集] 短所
[編集] バッテリー
重金属・レアメタルや化学物質などを多量に消費する旧式のバッテリー(二次電池式)を大量に搭載する前提でライフサイクルアセスメント (LCA) の観点から問題を指摘する向きもあったが、急速な開発によって解決されつつある。電解質に用いられるリチウムの陸上資源は豊富にあり、全く希少元素ではなく、海水中に無尽蔵に存在するリチウムを抽出する技術もあるため価格の高騰を防げ、安価に供給可能である。リチウムイオン二次電池に使われる希少元素は正極材料に使われてきたコバルトであり、現在コストの7割を占める。しかし、ニッケル、マンガン、リン酸鉄などを使った正極材料が開発されつつあり、全く希少元素を使わないリチウムイオン二次電池も可能である。ニッケルは希少元素だがコバルトよりは安い、マンガンはベースメタルでないだけでレアメタルと呼ばれているが厳密には希少元素ではなく安価である。リン、鉄は全くレアメタルではない[17][18][19]。少なくとも電気自動車用に採用しようとしているリチウムイオン二次電池はコバルトを使わないものである。
また、電池の寿命が懸念材料になるが、最新の電池では6000Cycle以上の充放電に耐えるものも既に発売されており、10年24万kmといった耐久性基準を余裕で上回れる目処は立っている。仮に6000Cycleの充放電に耐えられる電池が搭載された場合、100万km走ることがある大型車でも電池の交換は必要ない。しかし現状の一般的な電気自動車向けのものでは1000-3000Cycleとなっており、乗用車用途では交換の必要性はないが、タクシーや大型貨物をはじめとした商用車などでは交換の必要性も考えられる。既に発売されているテスラ・ロードスターでも10万マイルの電池耐久性を謳っている。[要出典]
整備や修理などで電力系統に触れる場合には感電事故の危険性が高く、キャパシタを用いた電力源では特に重大となる。内燃機関式の液体燃料を用いる車両の整備などでは、燃料漏れといった事態でも臭いで容易に判別できるが蓄電池からの漏電はすぐには判らないので、自動車整備士には安全確保に対する教育と現場での注意が求められる。
[編集] 電力供給問題
日本国内においても地域差があるため一概には言えないが、例えば東京電力の電力供給地域を例に取ると、夜明け前の一日で最も電力需要が少なくなる時間帯において、必要な電力は春秋の低需要期でほぼ2500万kW、夏の高需要期では3000万kW程度であり[20]、これは東京電力の原子力発電による発電可能量(原子力発電所17基分、2000万kW弱)をすでに超えている。つまり、現状の発電能力では電気自動車の普及による電力需要の増加は、すべて火力発電所を稼動することによってしか賄うことができない。原子力発電所の計画から稼動までは長い時間がかかりこれらの状況は当面変わらず、電気自動車の普及をCO2の排出の抑制にすぐにつなげることは難しい。太陽光発電の普及も電気自動車への充電は主に夜間に行われると考えられることから、大規模な蓄電施設の建設などが行われなければやはり寄与することは難しいといえる。一方で、この地域における自動車の登録台数は約2000万台であり[21]、、このうちの1/4程度の500万台が電気自動車になった状況を考えたとき、平均的に週一度の充電を夜間に1.5kWで行うとしたとき、毎晩100万kW程度の新たな電力需要が生ずることになり、これは原子力発電所一基分程度の発電量として供給することができる。電気自動車普及の大きな目的の1つとしてCO2排出量の削減を掲げるのであれば、主に原子力発電所の建設による電源開発計画と、電気自動車の普及台数とのバランスを良く考慮する必要がある。
上記の考え方に加えて、以下のことを考慮する必要がある。二次電池は電気エネルギーの貯蔵と取り出しというエンジン機能の一部を併せ持っており、ガソリン単体の質量と比べても意味はない。内燃機関は熱エネルギーを発生し運動エネルギーに変換するが、二次電池は化学エネルギーを電気エネルギーに変換し、電動機が電気エネルギーを運動エネルギーに変換する。同じ運動エネルギーに変換するまでの重量を比較しなくてはならない。
具体的に内燃機関動力車を電池自動車に換算する場合にはエンジンや駆動装置の重量も含める必要がある。エンジンとトランスミッションを合算した重量は4気筒2Lクラスのドライブトレインで200kg程度になるが、モータはその半分以下の重量である。ガソリン自動車の熱効率は20%にも満たない場合が多いが、電気自動車では80%に達することを考慮すると、重量あたりの航続距離も同列に比較できる段階に達している。
仮想の車両で具体的に航続距離の差を示す。例えば、2000ccクラスのガソリン車の車両重量を1300kgとする。ガソリンが60L入ると考えると約50kgであり、1350kgの装備重量となると仮定する。60Lのガソリンで15km/L走ると仮定すると、900kmの航続距離になる(ガソリン車も電気自動車も燃料または電気を使い切ることは難しいが、その点は無視する)。仮にそのガソリン車を電気自動車に転換する場合、電池を除いた重量が100kg軽くなるものとする。ガソリン車と同じ装備重量1350kgの場合、150kgの電池が搭載できる。200Wh/kgのエネルギー密度を持つ電池であった場合、30kWhのエネルギーが得られ、電力消費率を9km/kWhとした場合、270kmの航続距離となり、3倍強の差がつくこ� ��がわかる。同様に考えると、150Wh/kgの電池の場合、約4倍の差になる。また、電気自動車で900kmの航続距離を実現しようとした場合、200Wh/kgのエネルギー密度を持つ電池であっても1700kg以上の重量となってしまう。[独自研究?]
実際に販売された電池自動車を誰でも比較できるようになった結果、現時点で車両重量が2割増えた代わりに航続距離は1/4の160km程度に減少しているが、燃費は1/8に改善されており、加速力などの動力性能も向上している。
これはガソリン車と共用のプラットフォームであり、電池自動車として最適化されていないにもかかわらず、増加した重量込みで燃費が良くなり、増加した重量が低重心のバネ上重量なので、乗り心地はかえって良くなっている。
すでに三元系正極材料を使ったリチウムイオン二次電池なら容量を2倍にするめどが立っており、航続距離はガソリン車比1/2程度を満足するので乗用車としては問題ない。[22]
航続距離が問題になるのは物流トラックだけである。
燃料電池自動車との比較では、1充電で350km走行できる小型自動車で電気自動車と燃料電池自動車を比較すると、電気自動車でのリチウムイオン電池では 100Wh/kg, 100Wh/L が必要となり、容積450Lで重量は450kgとなるのに対して、燃料電池自動車では高圧水素タンクが35MPaで容積150Lで重量は80kgとなる。[23]燃料電池車は回生ブレーキや急加速のアシスト用にリチウムイオン電池が不可欠で、さらに燃料電池スタックの重量もあるため、決して軽くはならない。ただし、水素量を増やせば航続距離が伸びるメリットは、特に大型車で生きてくる。これに価格や充電時間、電気や水素の供給方法、燃料電池スタックの寿命、路上での冗長性(バッテリー上がりトラブルなど)の長所短所が考慮される。
[編集] 静穏化に伴う問題
電気自動車は動力源に由来する騒音が非常に少なく、爆発によって動力を得る内燃機関自動車よりも非常に静かである。内燃機関自動車は静穏化を1つの目標としてきたため電気自動車の静穏性は自動車の発展にとって1つの到達点でもありメリットであるが、その一方で電気自動車の不用意な接近により歩行者が自動車の存在に気付かないまま危険に曝される状況が頻繁に発生するようになる。
ハイブリッドカーを含めた電気自動車の静穏化はロードノイズなど走行騒音の少ない低速時に際立つため重大事故にはつながりにくいものの、聴覚機能が減退した高齢者や聴覚障害者に加え、音により判断することの多い視覚障害者が危険に曝されやすい。また、静穏性を悪用した犯罪の危険もあり、プリウスを悪用したひったくり事件も発生している。
対策としてエンジン音を擬似的に発生させる装置の義務化が検討されているが、実際に作られた音がジェット機の音を小さくしたような音[24]であるため新たな騒音源となることが懸念される。
[編集] 希少元素問題
ハイブリッド自動車の製造には現在レアメタルやレアアースが使われている。しかし純電気自動車には必要ない要素もあり、かつ採取技術や代替材料など安価にするための方法も開発されつつある。
[編集] コバルト
リチウムイオン二次電池におけるレアメタルとは主に正極材料に使われているコバルトである。2009年(平成21年)現在リチウムイオン二次電池のリサイクルで取り出されているのはコバルトのみであり、リチウムは分離技術も経済性もなく、全くリサイクルされていない。リチウムイオン二次電池のコストの7割はコバルト代だといわれている。現在、ニッケル、マンガン、リン酸鉄などの正極材料が開発中であり、コバルトを使わないリチウムイオン二次電池を実用化しつつある。
[編集] 希土類
軽量、小型で大出力の電動機であるネオジム永久磁石同期電動機を作るには、希少元素であるネオジムやジスプロジウムといった希土類が使用され、価格の高騰などの影響を受けやすい。磁石メーカーはリサイクル技術の確立に力を入れている。電動機メーカーは希土類を用いない電動機の開発に力を入れていて、2008年(平成20年)に日立は希土類磁石を使用しないモーターの開発に成功した[25]。
あるいは、交流誘導電動機を採用することで希少元素を使わずに済む。交流誘導電動機は、高速域と低負荷の効率が良いため、制御を高度化すれば、総合効率はネオジム永久磁石交流同期電動機に勝るとも劣らない。さらに、交流誘導電動機は、複数のモーターを設置しても単一コントローラで済む利点がある[26][27]。実際に、テスラ・モーターズ社の「ロードスター」は交流誘導電動機を用いている[28]。ネオジム永久磁石交流同期電動機は、設置スペースの少ないハイブリッド車かインホイールモーターに必要なだけで、純電気自動車にはエンジンや変速機の代わりのスペースがあるため、車載型の交流誘導電動機で十分である。[独自研究?]
あるいは、希土類磁石が不要な電動機としてスイッチトリラクタンスモータの開発も進行中である。通常の永久磁石式電動機が電磁石の吸引力と反発力の両方を使用して回転するのに対して、この電動機はステッピングモータのように回転子の吸引力のみで回転する。
[編集] 充電インフラ
「英語版ウィキペディア: Electric vehicle network」も参照
電気自動車の充電インフラは、電力網の末端である家庭用電源を利用する家庭用充電設備と、市街地や路面下等に設けられ不特定多数の利用を前提とする公共用充電設備の2種類に大きく分類される。
[編集] 家庭用/事業所用充電設備
家庭や一般事業所では100V/200V商用電源による緩速充電設備を備えることが予想され、少数ながら一部では導入が始まっている[29]。
空中原子トップギア- 長所
- 自宅や出先の駐車場などで充電できれば利便性が向上する
- 安価な深夜電力を利用できれば経費を抑えられ、電力供給者も発電電力量の平準化が行える
- 長時間かけた緩速充電方式は電池への化学的な負担が軽く劣化しにくいので電池の長寿命化が期待できる
- 満充電まで時間的な余裕が得られやすい
- 商用電源が利用できれば最小の工事で済み安価となる
- スマートグリッドにおける家庭/事業所の蓄電池としての機能が期待できる
- 短所
- 充電に時間がかかり車両の利用に制約が生まれる[30]
- 商用電源であっても充電機器の配線と設置に工事が必要となる
- 感電の危険性が多少とも存在する
- 集合住宅では設置と利用に障害が多い
安価な深夜電力を利用して深夜に充電し昼間に自動車を利用するため一般家庭における電気自動車の充電方法として適している。急速充電器との違いは蓄電機能がない点である。家庭用電源からバッテリーに直接充電を行う。普及しているプラグやコンセント等の接続機器を用いた配線工事のみで済むため設備や工事費用が安く抑えられる。
[編集] 充電スタンド
詳細は「充電スタンド」を参照
一般に「充電スタンド」や「充電ステーション」と呼ばれる急速充電方式による充電施設が計画されている。急速充電器により短時間で車載電池を充電する方法であり、ガソリンスタンドと同様に主要な道路に面した車両の出入りに便利な場所に有料で充電サービスを提供する施設として考えられる。技術的に可能であればガソリンを自動車に給油して対価を受け取るガソリンスタンドの事業スタイルがそのまま生かせるので、現存する給油事業者がそのまま事業形態を変更することで混乱が少ないと期待される。目的地への走行経路途中に寄ることで、満充電だけでなく継ぎ足し充電することも可能であり利便性が良い。また、充電施設が普及する過渡期であれば、一定区域内を長距離走行するバスや配送用トラックといった業務用車� ��に適した方法である。
- 長所
- 十数分程度の短時間で80%程度まで充電できる[31][32]
- 短所
- 急速充電では蓄電池の内部温度が上昇して劣化し電池の寿命を縮める
- 液体燃料の給油に比べて同時に対応可能な台数を増やす必要がある[33]
- 大電力の配電設備が求められる[34]
- 昼間に利用すれば夜間電力に比べて電気料金が高くなる
日本の都市部では賃貸駐車場の利用者が多く、駐車場に充電設備が無い現状では街中の充電設備が欠かせない。また、旅行などの際に数百キロの長距離を走る場合にも道路給電設備がない現状ではサービスエリア等での短時間の継ぎ足し充電が必要である。国内のエコ・ステーションの定義に電気自動車用の充電所が含まれているが、現時点ではそのような設備はほとんどない。
電力網自体は国内に張り巡らされているためほとんどの地域で充電設備の設置は可能であるが、急速充電器は現状では価格が数十万 - 数百万円と高価なため普及には価格の低減が大きな課題である。
燃料電池自動車の水素供給インフラとの比較では、充電所の方がよりインフラ構築が行いやすい。水素スタンドは水素の生成方法にもよるが、安全性を確保する上で立地やタンクの設置方法、安全装置など多数の制約がある。水素スタンドの建設費用は現状でガソリンスタンドの約3倍のコストがかかり(ガソリンスタンドの建設費用は約1億円、水素スタンドは約3億円である)、タンク車による出張充填の場合もそれなりの費用負担が発生する。それに比べると、電気自動車用の急速充電器は一番高価なものでも1基300万円程度であり、大きさも家庭用冷蔵庫程度の大きさで設置場所の制約が少なく、水素スタンドよりは設置しやすい。
急速充電は電気料金単価が30円/kWhに満たないため利益が非常に低くなり、市街地におけるガソリンスタンドでの充電は採算面から事実上不可能である。20kWh程度のバッテリーの車だと一回のフル充電で多くても200円程度(9円/kWhで深夜充電した電気を19円/kWhで昼間売り10円/kWhの利益を出す場合)の利益しか見込めない。また、充電時間が15分に抑えられたとしても、ガソリンの給油時間を5分とすると回転効率は1/3であり、給油機器の3倍の充電機器がないと充電待ちで時間を費やすばかりか渋滞の原因となり、しかも3倍の駐車スペースが必要となるため採算性がさらに悪化する悪循環に陥る。この点を改善するため電池交換や道路給電が研究されている。
急速充電を行う設備は1台分で数十kWの供給容量が必要で、電柱に取り付けてある家庭向け変圧器1基で1 - 2台分しか供給することが出来ない。したがって急速充電用の契約は家庭用ではなく事業用の高圧供給となり、無駄な変圧器を通すことなく、安い電力料金になる。事業者用電力料金は家庭用の4割引、6割以下と非常に負担が軽くなる。[35]
日本やアメリカの観光地や一部地域のほか、パーク24などの駐車場会社やショッピングセンターなどは街角や駐車場に急速充電器や充電設備を設置して電気自動車の利用を促進しようという動きがある。
[編集] 公共用充電設備
公共用の充電設備は公共駐車場や公共施設等に設置される急速充電装置による充電設備を指す。車載電池を充電する方法の他に、電池交換所における電池交換も可能性として存在し、走行中/停車中の道路の路面や頭上から間接的に給電を受ける方式も検討されている。公共用充電設備は電気自動車の航続性能がまだ不十分なために必要とされる面が大きく、将来的には一部を除き不要になる可能性が高い。
- 長所
- 電池残量をあまり気にせず走行できる
- 短所
- 深夜電力より電気単価が高いため経費が増える
- リチウム電池が高温になりやすく電池寿命が短くなる
- 充電に時間がかかるため場所によっては充電待ちの渋滞が起きる
- 充電設備が高価なのに対して電気単価が安いため充電所では利益が上げにくい
- 航続性能の低い車種の場合長距離移動では何度も充電を繰り返すため移動に時間がかかる
[編集] 電池交換方式
電池交換所においてバッテリーを交換することで充電の手間を軽減し航続距離を確保する方法である。電池交換所に立ち寄れることが前提となっており、単独または複数の電池交換所に立ち寄れる範囲で長距離走行するバス、タクシー、トラックといった業務用車両に適した方法である。
- メリット
- バッテリー性能にかかわらず長距離走行できる。
- 電気そのものではなくバッテリー交換サービス自体を販売対象とするため利益が上げやすい。
- バッテリーのメンテナンスの手間が省ける。
- デメリット
- 保有ではなく事実上車両を賃りる状態となるため継続的に経済負担がある。
- 交換所がない場所では充電が必要である。(充電できないタイプであれば範囲外では利用自体ができない。)
ルノー・日産アライアンスは、充電スタンドの整備運営をする米国ベタープレイス社と組み、電池交換所整備に加えて政府や自治体による助成金や優遇税制の導入をセットにした電気自動車発売を計画している。ベタープレイスでは、電力の補給を、車両に搭載された電池への充電ではなく、カートリッジ式の電池を交換する方法を想定しており、充電時間の問題を解決できるとみている。また、過去に成功を収めた携帯電話のビジネスモデルに倣い、電気自動車の車両本体はユーザーに無料で提供し、電池の利用に応じた料金収入による経営とする方針を打ち出している。
京都市交通局で1970年代に導入された電気バスでは床下のバッテリーを交換する方式を採用、バス営業所にバッテリーの交換・充電・保管設備を設置していた。
[編集] 道路給電方式
道路の路面下や路上の空中に設置したコイルや架線から、対応する受電装置を備えた車両に対して、停車中や走行中に間接的に電力を供給する方式である。常に受電できるとは限らないので小型の蓄電池を搭載する形式が想定されるが、給電装置の配置や間隔は具体的な給電技術と同様に構想段階である計画によって異なっており、地上設備側の規模と車載蓄電池の大小はおおむね逆比例すると考えられるが、未定や不明な点が多い。
- 長所
- 給電設備の備わった道路であれば、電池容量に制約されずにどこまでも走れる
- 自動的に給電できれば充電の手間や時間が掛からない
- 車載蓄電池の小型化
- 車両価格が安くできる/数年に1度の蓄電池の交換コストが安くできる
- 軽量化によって運動性能の向上と低消費電力化が期待できる
- 充電設備での渋滞が発生しない
- 短所
- 給電ロスが大きい
- 地上設備の課題
- 整備と維持に長期間/大規模投資を必要とする
- 技術的な課題とは別に、送電線下の電磁波の悪影響を恐れる意見と同様の社会的な抵抗への懸念がある
- 車載装置の課題
- 車載の受電装置が標準化されなければ国際化を含めた普及と規模拡大の障害となる
- 大型の電池を搭載しなければ給電設備が備わった道路しか走れないが、電池との併用走行を重視すれば重量が増す
- 不特定多数の利用では課金方法に工夫がいる
[編集] 黎明期
初の電気駆動車は1835年、トーマス・ダベンポートが作ったもので、小さな鉄道線路の上を走る電気機関車だった。1838年、スコットランドのロバート・デービッドソンは時速約6kmの速度で走行する電気機関車を作った。1840年、イングランドで鉄道線路を電気の供給に使う方式の特許が取得されており、1847年にはアメリカでも同様の特許が取得されている[36]。
1830年代(正確な時期は不明)、スコットランドの発明家ロバート・アンダーソンが充電不可能な一次電池を搭載した世界初の電気自動車を発明した[37]。
販売された初の電気自動車は、最初のガソリンエンジン車(1891年)の5年前に英国で登場した。1899年にガソリン車よりも早く初めて100km/hを突破するなど当初は有望視され、自動車の黎明期には蒸気機関・内燃機関と動力源の覇権を争っていた。ハブにモーターを搭載したインホイールモーターの原型とも言える4輪駆動車を当時ローナー社在籍のフェルディナント・ポルシェが、1900年のパリ万博に出展した。
アメリカでも発明王トーマス・エジソンが電気自動車の改良と普及に努めていた。特に充電可能なバッテリーの開発に邁進していた。しかし、広大な国土を持つアメリカでは航続距離の短さが克服し難いネックとなり、やがて彼の元で内燃機関を研究していたヘンリー・フォードによるフォードT型の成功により自動車市場は完全に内燃機関自動車に支配され、イギリスでのミルク配達用や屋内用のフォークリフト等、一部を除いて電気自動車は一旦市場から姿を消す[38]。
1930年代、ゼネラルモーターズ (GM)、ファイアストン、スタンダードオイルカリフォルニアの3社の協業で National City Lines (NCL) という会社が設立された。この会社は各地の電気機関車を使っていた路面電車の会社を買い取り、電車を廃止してGM製バスに切り替えるという事業を行った。3社はNCLへの車両や燃料などの供給を独占したことで有罪とされたが、NCLによる交通サービスの独占は問題にされなかった(アメリカ路面電車スキャンダル)。
日本でも戦後、ガソリンの入手が困難だった時期にたま電気自動車等、数社から電気自動車が販売されていたが、朝鮮戦争による鉛価格の上昇やガソリンの入手性が向上した事により姿を消した。
[編集] 石油ショック
再び脚光を浴びるのは先進国でモータリゼーションが進んだ1970年代である。オイルショックによる石油資源依存のエネルギーセキュリティ懸念や、排気ガスによる局地的大気汚染(公害問題の深刻化)の解決策として電気自動車が提案された。日本においては通商産業省(当時)主導の電気自動車研究開発プロジェクト(通称:大プロ)が実施され、ホンダを除く国内全メーカーが電気自動車を開発した。しかし主に鉛蓄電池を用いた電気自動車は性能を確保できぬまま、石油確保の政治的解決やガソリン自動車の排気ガス浄化性能の向上に伴い、電気自動車は再び姿を消す。
[編集] ゼロエミッション規制
次に状況が変化するのは1980年代後半、CARB(カリフォルニア大気資源局)のゼロエミッション規制構想時である。これはカリフォルニアで販売する自動車メーカーは一定台数、有害物質を一切排出しない自動車を販売しなければならない、という規制の構想であった。これに対応できるのは電気自動車と考えられた。大プロ時期に比べ、鉛蓄電池からニッケル水素電池と言った技術の進歩もあり、実際にトヨタのRAV4EV、ホンダのEV-PLUS、ゼネラルモーターズのEV1などの限定販売・リースが開始され、電気自動車の本格普及も近いと思われた。しかし鉛蓄電池に比べニッケル水素電池はエネルギー・出力密度に優れてはいたが、それでも電気自動車は充分な性能(航続距離・充電時間・耐久性・車両価格など)を確保できなかった。当時はリ� ��ウムイオン電池を採用可能だったのは1997年プレーリージョイEV、1998年ルネッサEV(北米仕様はアルトラEV)、1999年ハイパーミニを発売した日産しかなかった。ハイパーミニはアルミスペースフレームによる超軽量ボディとリチウムイオンバッテリーを採用する意欲作ではあったが、車両価格が362万円と高価で、且つインフラ整備も整わなかったので普及には至らなかった。
[編集] 燃料電池
これ以降、自動車メーカーの多くは、電気自動車の欠点であるエネルギー密度の問題を解決するため、充電時間の制約が無い燃料電池を搭載した燃料電池自動車の開発に傾注し、2002年(平成14年)には燃料電池自動車、ホンダ・FCXや、トヨタ・FCHVのリースが開始されたが水素スタンドが未整備であるなど費用や使い勝手に問題があり普及には至らなかった。
[編集] 2000年代
バッテリーの問題について、今日には変化が見られる。モバイル機器等で使用が当たり前になったリチウムイオン電池を採用することで、性能向上を果たした電気自動車が発表されるようになった。リチウムイオン電池は、ニッケル水素電池より高エネルギー・高出力密度であるとされ、電気自動車の性能改善が見込まれる。充電時間についてはメーカーや研究機関で30分以下で70%の充電を可能にする急速充電技術が開発されている。電池寿命についてはモバイル機器などに使用されているものとは異なり長寿命である。長寿命である要因は質量あたりのエネルギー密度がモバイル用よりも少なく、設計的に余裕があるためである。下記のTesla Motorsの電気自動車では16万kmの電池寿命と発表している。日本では、自家用車の場合20万キロに及ばないうちに廃車になることが多いため交換は必要ないと思われるが、30万km以上使うこともある商用車などの用途では途中で交換が必要だといわざるをえない。
充電時間の長い二次電池を使用せず、動力源に絶縁性能を改善したキャパシタを用いた試験では、重量1.5tクラスの車両であれば、100km/hの定速運転で700km以上の航続距離を達成することが既に可能であると報道された[39]。短時間の充放電が可能なキャパシタは回生ブレーキで発生した電力の有効な回収手段としても注目されており、日産ディーゼルが開発中である[40]。
慶應義塾大学電気自動車研究室が開発したエリーカでは、既に370km/hの最高速度と4.1秒の0-100km/h加速が達成されており、内燃機関車両に比べ簡単な駆動系で高い動力性能が引き出せることを実証した。
1990年代以降の電気自動車の性能の向上(および量産ハイブリッドカーの登場)には、電源であるバッテリの性能向上のほかにも、電気エネルギーの使用効率を高められるインバータによる可変電圧可変周波数制御といった、パワーエレクトロニクスの発達による要素も大きい。
従来電気自動車は、パワー・航続距離が不足しているため、短距離を走るシティコミュータなどが使用法として考えられてきたが、上記のような性能の車が発表されたことから、以前のものと比べ高性能な電気自動車を作れる可能性が出たため、再び電気自動車を見直す動きが見られ、開発を宣言する自動車メーカー(富士重工業・三菱自動車工業など)も現れている。
トヨタはハイブリッドカーのバッテリーを大幅に大容量化し、外部からの充電を可能とするプラグインハイブリッドを開発中である。
2007年のデトロイトオートショーで、電気自動車に近い構造を持つコンセプトカーが展示された[41]。電気自動車の構造に発電用内燃機関エンジンを組み合わせたシリーズハイブリッド方式のものである。シリーズハイブリッド方式は、ゼロスポーツが特許を取得【特許3973031号(特願2002-375931平14.12.26出願)(エンジン発電機搭載型電気自動車)】した方式で、トヨタも平成6年(1994)8月5日に特許第3047741号(シリーズハイブリッド車における発電制御方法)、平成6年(1994)6月29日に特許第3047737号(シリーズハイブリッド車の制御装置)を出願し、それぞれ特許を取得している。他にもホンダのパラレルハイブリッド方式や、トヨタのシリーズ・パラレル複合ハイブリッド方式もある。 シリーズハイブリッドは「自動車を電池で走らせるにはコスト・重量的に問題があるため、別動力(内燃機関)で発電し、航続距離を確保する」という発想、プラグインハイブリッドは「(内燃機関と電池を使う)ハイブリッドカーに、一定距離の間EVとして走行可能な機能を付与」という発想のもので、現在市販されているハイブリッドカーとは若干コンセプトが異なる。 また、従来のバッテリーよりもはるかに高性能のリチウム・空気電池の開発も進みつつある。[42][43]
米国では、テスラモータース(Tesla Motors)(Google社の共同創始者のSergey Brin氏・Larry Page氏など、有名IT企業家も出資している電気自動車ベンチャー)により、0-60mph (0-96km/h) 加速約4秒、最高速度130mph (208km/h) 以上、航続距離250mile (400km) を達成したスポーツカータイプの、純粋の電気自動車「テスラ・ロードスター」が発表された。電池寿命は10万マイル(16万km)は動力性能を出来るとしている[44]。
さらに2009年3月には「モデルS」が発表された。これは大量生産車で、(2009年4月ごろの段階で)すでに1200台以上受注し、すでに数百台が路上を走っており、毎週25台のペースで生産しており、予約は同年秋までいっぱい[2]とされた。ファミリー・セダンタイプで、大人5人と子供2人が座れるという。ごく普通の家庭用コンセントから充電可能で、一度の充電にかかる時間はわずか45分で、最高300マイル(≒483km)の走行が可能だという。 燃費が非常に良く、トヨタのプリウスのおよそ2倍で、370km走っても電気代が500円程度で済む[3]ともされた。
2010年2月1日から7日までガリバーインターナショナルがヤフーオークションでテスラ・ロードスターをオークション販売した。入札件数は619件、落札金額は880万2000円であった[45]。
2010年4月21日にはテスラモータースが日本での発売開始を発表し、ロサンゼルス郊外の港で日本向けの「ロードスター」を報道関係者に公開した。初出荷分12台は売約済みで価格は1810万円。
[編集] 導入事例
電気自動車の国内における導入実例には、1970年(昭和45年)の大阪万博の会場内輸送を担う車両の生産をダイハツが担当した。それ以来ダイハツは3輪バイクのハローや、商用車のハイゼットEVなどの市販電気自動車のほか、自治体や特殊法人向けにラガーを改造したEVを少数納入している。 山梨県北杜市では、7月末から電気自動車のモデルゾーン実験を行った。実験ではトヨタ車体(旧アラコ)『コムス』、ゼロスポーツ『ゼロEVエレクシードRS』、オートイーブイジャパン『ジラソーレ』、昭和飛行機工業『e-VAN』等が採用された。 日本郵政グループの郵便事業会社は、2008年12月初旬から環境対応車両の実証実験を行って、郵便事業会社の保有する集配用の自動車2万1000台を電気自動車に切り替える方針を発表している。[46]しかし2011年にゼロスポーツが破産したことで導入計画は頓挫している。
日産自動車は2010年に発表したリーフを、世界展開するとしている。三菱自動車は東京電力と共同で開発したi-MiEVの販売を開始、商用車でもミニキャブバンをベースにしたミニキャブMiEVを開発、2010年秋にプロトタイプ車をヤマト運輸に貸与して実証実験を行い、2011年より販売を予定している。
そのほかでは、ホンダが栃木県のサーキット、ツインリンクもてぎ内で提供している会場内専用のレンタル車輌などがある。
トヨタ・e-comや日産・ハイパーミニなど、シティコミュータータイプの電気自動車を使用した自動車共用実験などがある。
他に特殊用途自動車としては、ターレットトラック・フォークリフト・ゴルフカートでは電動式のものが少なくない割合を占めている。動力つき車椅子や老齢者用カートは大半が電動式である。
日本国外ではスイスの観光地ツェルマットなど、内燃機関自動車の乗り入れを禁止し村内の自動車は原則としてすべて電気自動車とされている場所などもある。完全に定着した特殊用途自動車としてイギリスの牛乳配達用車両(milk float)があげられる。これは「早朝にエンジン車はうるさい」との苦情から発生したもので、鉛蓄電池により駆動する。
市販の自動車の電気自動車への改造は希に行われている。改造電気自動車には近距離の荷物配達用バン(デリバリー・バン)や霊柩車などの実例がみられ、珍しいところでは九州電力玄海原子力発電所見学者用のバスを電気自動車に改造。趣味性の高い方向では、日本EVクラブがマツダ・ロードスターのEV改造キットを発表したり、同クラブ広島支部が2007年から2008年にかけて事故車のデロリアン・DMC-12をEV改造し、翌年3月にナンバー取得をしたケースがある。
[編集] 日本
[編集] 日産(またはその前身)
[編集] 三菱自動車
[編集] ダイハツ
[編集] スバル
[編集] 光岡
[編集] ゼロスポーツ
[編集] その他
[編集] アメリカ合衆国
[編集] テスラモーターズ
[編集] ゼネラルモーターズ
[編集] その他
[編集] ヨーロッパ諸国
[編集] アジア(日本以外)
[編集] 運用コスト
2009年現在、車両価格が大幅に高い影響で電気自動車が優位にある用途はターレットトラックやフォークリフトなど限られた平坦な場所で使われる低速度の車両に限られている。電池だけで96km走行可能なハイブリッドカーであるBYD F3DMの価格が既に200万円程度となっており、量産が進むとライフサイクルコストで内燃機関自動車と逆転する事が期待できる。
- 利用者のコスト:車両価格、エネルギー料金、保守管理費用(主に電池)、税、廃車などの全経費(ライフサイクルコスト)
- 社会全体のコスト:インフラ整備および保守管理費用
[編集] リチウム
リチウムは軽量・大蓄電量のリチウムイオン二次電池に使用されている。リチウムは経済産業省の分類ではベースメタルでないというだけでレアメタルとされているが、希少元素ではない。
リチウムの陸上資源は全ての大陸に存在するが、豊富すぎる埋蔵量が単一鉱山にあるため、最も低コストで産出できる一握りの資源メジャーが飛び抜けた競争力を持ち、価格を自在にコントロールして、自分の収益を確保した上で、条件の悪い下位グループの鉱山の操業を出来ないようにしてしまう。これを一般には偏在すると呼んでいる。リチウムイオン二次電池におけるリチウムの使用量はわずかであり需給が逼迫する可能性は少ない。リチウムは海水中に無尽蔵に存在しており、現在の技術でも採取可能であるが、開発途上である。ただし海水からの採取技術を担保しておけば、陸上資源の価格も抑えられる。
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